パイナップルセラミドの肌のバリア機能に及ぼす影響

 

はじめに

セラミドは、皮膚の角質層に存在し、肌のバリア機能や水分保持に重要な役割を果たす脂質の一種として知られています。
近年、パイナップルから抽出される「パイナップルセラミド」や、その主要成分である「グルコシルセラミド」が、肌の健康維持に寄与する可能性があるとして注目されています。

セラミドとは?

セラミドは皮膚の角質層に存在する脂質で、細胞間脂質の主成分です。セラミドが不足すると、肌の水分保持力が低下し、乾燥やバリア機能の低下を引き起こすことが知られています。
このバリア機能は、皮膚内の過剰な水分蒸散の抑制および一定の水分保持、外的刺激から皮膚を防御するといった重要な役割を担っています。
セラミドは、疎水層と親水層が交互に重なり合う「ラメラ液晶構造」を形成し、皮膚の水分を保持し、外部の刺激から肌を守る役割を果たします。

グルコシルセラミドの役割

グルコシルセラミドは、皮膚の表皮において産生され、角質層で分解されることでセラミドに変化します。このプロセスは肌のターンオーバーと関連しており、健康な肌の維持に重要です。
グルコシルセラミドが不足すると、角質層のバリア機能が低下し、水分蒸散量が増加することで肌の乾燥が進む可能性があります。

パイナップル由来のセラミド

パイナップルセラミドは、パイナップルの果皮や葉から抽出されるフィトセラミド(植物由来のセラミド)です。パイナップル由来のセラミドは、肌に親和性が高く、肌のバリア機能をサポートする可能性があるとして研究が進められています。
セラミドは、皮膚の角質層に存在する細胞間脂質として、水分保持とバリア機能の向上に重要な役割を担っています。このバリア機能は、肌からの水分蒸発を抑え、外的要因から肌を守るために不可欠です。
参照:https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/8525/

パイナップルセラミドの研究

2016年に実施された研究では、パイナップルセラミドを含む製品が、肌のバリア機能に及ぼす影響が評価されました。この研究では、セラミド合成を促進する効果が確認され、肌の水分蒸散量の抑制に寄与する可能性が示唆されています。

パイナップルの果実にグルコシルセラミドが含まれていることを見出し,グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキス(pineapple fruit extract containing glucosylceramides:PFEG)を開発し,肌に対する有用性を評価した。PFEGは皮膚において保湿に関わる遺伝子群の発現を増加し,さらにセラミド合成酵素の発現を増加させることでセラミド産生を促し,肌のバリア機能を高める作用を有することが明らかとなった。
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/50/4/50_306/_article/-char/ja/

参考文献

監修

江口  文陽
江口  文陽学長
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、
2021年4月より東京農業大学 学長に就任、
2023年7月より東京農業大学 理事長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会