パイナップル果実エキスの美容効果 作用機序②-1
グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスの摂取および、肌への塗布による美容効果の作用機序について報告されています。
グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスによるメラニンを抑える作用
セラミド産生促進作用の他、美容効果として含有成分であるフィトールによるメラニンを抑える作用が報告されています。
フィトールは天然に存在する直鎖上ジテルペンアルコール(生体物質)の一つで、ビタミンEやビタミンKの前駆体としても知られています。
フィトールから生合成されたビタミンEの抗酸化作用によるメラニン産生抑制、ビタミンKによる血流促進作用による肌の明るさの向上効果がメラニンを抑える作用に関与していると考えられています。
セラミド産生促進作用は、このエキスに含まれる成分が肌のケラチノサイト(角質細胞)に働きかけ、セラミドの合成を促進することで実現します。セラミドは細胞間脂質の一つであり、肌の角層において重要なバリア機能を果たしています。その役割は、肌内の水分を保持し、外部からの刺激や紫外線、乾燥などのダメージから肌を守ることです。セラミドが不足すると肌のバリア機能が低下し、肌の乾燥や色素沈着、トラブルの原因となる可能性があります。グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスによるセラミド産生促進作用は、これらの問題を改善する助けとなると考えられています。
フィトールは植物に広く存在する直鎖上ジテルペンアルコールの一種であり、このエキスに含まれる成分の一つです。フィトールが生合成された後、ビタミンEに変化します。ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、肌内の酸化ストレスを軽減する効果があります。特に、肌の色素沈着に関与するチロシナーゼという酵素の活性を抑制することが重要です。チロシナーゼの過度な活性によって、過剰なメラニンが生成されて肌の色素沈着が引き起こされることがあります。フィトールによる抗酸化作用は、このチロシナーゼの抑制効果を通じて、肌の色素沈着を軽減し、メラニンを抑える効果を発揮すると考えられています。
さらに、フィトールから生合成されるビタミンKは血流促進作用を持ちます。血行が改善されることで、肌細胞への栄養や酸素供給が増加し、肌の新陳代謝が促進されます。これにより、肌の明るさやトーンアップが促進されるとされています。血流促進作用によるメラニンを抑える効果は、肌の明るさを引き出す点で重要な要素となります。
このように、グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスに含まれるフィトールがビタミンEおよびビタミンKへと生合成されることで、抗酸化作用や血流促進作用が発揮され、メラニンを抑える効果に寄与すると考えられています。これらの成分の相乗効果により、肌の色素沈着を軽減し、明るく透明感のある肌を促進するメラニンを抑える作用が期待されています。
これらの作用機序により、グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスは肌のメラニンを抑える効果を促進し、肌のトーンを明るく整える効果が期待されると考えられています。これらの研究結果から、グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスは有望なメラニンを抑える成分として注目されているのです。
引用:粧技誌
監修
- 1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、
2021年4月より東京農業大学 学長に就任、
2023年7月より東京農業大学 理事長に就任
出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業
取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)
学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長
所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会
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