食事性グルコシルセラミドの機能性(大腸炎の改善効果②)

加水分解されたグルコシルセラミドの摂取による大腸炎症状の改善効果が確認されていますが、加水分解を担う腸内細菌について報告されています。

犬の腸内細菌として発見された Blaitia glucerasei は植物由来のグルコシルセラミドが持つ長鎖アシル基構造を加水分解する活性を持ち、消化菅内でのグルコシルセラミド分解作用が示唆されています。
 その他、現在はまだ未同定の細菌が複数あり研究が進められています。

これらグルコシルセラミド加水分解菌を腸管内で増やすことができれば、食事性グルコシルセラミドの生理活性の増大が期待出来、菌の安全性確認の研究も進められています。

加水分解されたグルコシルセラミドの摂取による大腸炎症状の改善効果が確認されていますが、この効果の実現には特定の腸内細菌の関与が指摘されています。具体的には、植物由来のグルコシルセラミドに含まれる長鎖アシル基構造を加水分解する能力を持つ腸内細菌が関連しています。このような細菌の中でも、犬の腸内細菌である Blaitia glucerasei はその代表的な例です。この菌は、グルコシルセラミドの加水分解を担う酵素を有しており、特に消化管内でのグルコシルセラミド分解において重要な役割を果たしているとされています。

しかしながら、加水分解を担う腸内細菌は Blaitia glucerasei に限らず、他にも同様の機能を有する細菌が存在する可能性が示唆されています。これらの細菌はまだ同定されていないものも多く、現在も研究が進行中です。腸内細菌叢は非常に多様であり、その中にはまだ解明されていない種類も多く存在するため、今後の研究によって新たな加水分解菌の同定が期待されています。

こうした加水分解菌の存在は、食事性グルコシルセラミドの生理活性を向上させる重要な要因となり得ます。特定の腸内細菌によってグルコシルセラミドが効率的に分解されることで、その代謝生成物が腸管内で適切に吸収され、全身へと効果的に運ばれる可能性があります。さらに、これにより腸内環境が調整され、免疫機能の改善や炎症の軽減などが促進されると考えられています。

このような観点から、腸内細菌の加水分解能力を向上させる方法や、これら菌の安全性に関する研究が進められています。特に、菌の摂取による健康への影響や副作用のリスク評価が重要な課題とされており、その安全性確認が進行中です。腸内細菌との相互作用を通じて、食事性グルコシルセラミドの効果を最大限に引き出す方法についての研究は、今後ますます重要性を増すでしょう。

引用:明治大学農学部研究報告

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会