食事性グルコシルセラミドの機能性(大腸炎の改善効果①)

動物実験による検討

 薬剤投与により腸炎を発症させたマウスを用いた食事性グルコシルセラミドの給餌による炎症抑制効果の検討が行われています。
これにより、大腸絨毛への傷害軽減やMPO活性の低下という結果が得られており、食事性グルコシルセラミドが腸炎症状を緩和するという報告がされています。
しかし、別の研究ではグルコシルセラミドの状態では腸炎抑制効果が見られず、グルコシルセラミドを加水分解したセラミドの状態での給与に効果が見られる結果となりました。これは実験動物の保持する腸内細菌叢の違いによるものと示唆されています。

【MPO活性】

MPO(Myeloperoxidase)は免疫細胞である好中球が持つ酵素で殺菌作用を持ちます。
外的刺激や細菌などにより好中球が刺激を受けることで血中に放出されるため、炎症の指標として測定に用いられます。

動物実験による検討では、腸炎を発症させたマウスを用いて食事性グルコシルセラミドの給餌による炎症抑制効果が調査されています。その結果、大腸絨毛の傷害が軽減され、MPO活性の低下が観察されました。これにより、食事性グルコシルセラミドが腸炎の緩和に寄与するとの報告があります。

しかし、別の研究では、グルコシルセラミドの形態による影響が見られました。具体的には、グルコシルセラミドの状態では腸炎抑制効果が見られなかった一方、グルコシルセラミドを加水分解したセラミドの状態で給与することで効果が観察されたと報告されています。これは、実験動物が保持する腸内細菌叢の違いが影響している可能性が示唆されています。

【MPO活性について】

MPO(Myeloperoxidase)は免疫細胞である好中球が持つ酵素であり、殺菌作用を有しています。外的刺激や細菌によって好中球が刺激を受けると、MPOは血中に放出されます。そのため、MPO活性は炎症の指標として測定されることがあります。

このように、動物実験による検討では食事性グルコシルセラミドの腸炎症状に対する効果が示唆されつつも、セラミドの形態や実験動物の腸内環境の違いによって結果が異なることが報告されています。これらの知見は、グルコシルセラミドの応用や医療への応用において重要な考慮事項となります。

引用:明治大学農学部研究報告

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会