食事性グルコシルセラミドの機能性(皮膚バリア機能に及ぼす効果➃)

遺伝子の発現調節

動物実験によるグルコシルセラミドの給餌でいくつかの遺伝子の発現がマイクロアレイを用いた網羅的解析により確認されています。

  • ケラチン合成に関する遺伝子
  • 角質細胞の密着結合に関する遺伝子
  • 角質細胞の周辺帯の形成に関する遺伝子

これにより食事性グルコシルセラミドがセラミド合成系以外の複数の遺伝子の発現調節にも影響することが示されました。

現在、グルコシルセラミドの遺伝子発現調節への作用機序についての研究が行われています。

また、これら遺伝子の発現により皮膚組織のセラミド合成を促進することで、セラミド量の低下が原因とされる乾燥肌、アトピー性皮膚炎、乾癬等の皮膚病の予防や治療に役立つと考えられています。

グルコシルセラミド(GlcCer)は、スフィンゴ脂質の一種で、細胞膜や皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしています。
グルコシルセラミドは、食事から摂取することもできますが、その効果や作用機序についてはまだ十分に解明されていません。
最近の研究では、食事性グルコシルセラミドが、皮膚や内臓のセラミド合成に関与する遺伝子の発現を調節することが示されています。
これは、食事性グルコシルセラミドが、セラミド合成酵素やセラミド分解酵素の活性を変化させることで、セラミドの代謝を制御する可能性を示唆しています。

引用:明治大学農学部研究報告

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会