パイナップル果実エキスの美容効果② 保湿・セラミド産生促進作用

AQP3およびHAS3の遺伝子発現促進作用が認められたパイナップル果実由来グルコシルセラミド食品素材の添加試験系にて、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の遺伝子発現促進作用を評価しています。

セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)はセラミドが細胞内で生合成される際の元となる物質(3-ケトジヒドロスフィンゴシン)の生成反応を触媒する酵素であり、この酵素の遺伝子発現の増加がセラミドの生合成の促進を促すとされています。

パイナップル果実由来のグルコシルセラミド食品素材が引き起こすAQP3およびHAS3の遺伝子発現促進作用は、セラミド生合成において重要な鍵を握っていることが明らかになりました。特に注目すべきは、この素材がセラミド生成の中心となるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の遺伝子発現を増強させる効果を有していることです。

SPTは、細胞内でセラミドが生成される際に必要な3-ケトジヒドロスフィンゴシンと呼ばれる物質の合成を促進する重要な酵素です。そのため、SPTの増加によりセラミドの合成が活性化され、肌の保湿機能やバリア機能の向上が期待されます。

この研究結果は、パイナップル由来の成分がセラミド生成の過程において複数の遺伝子を効果的に調節し、肌の健康に寄与する可能性があることを示唆しています。セラミドは肌の水分保持や外部刺激からの防御に欠かせない成分であり、この成果は美容および健康ケアにおいて新たな展望を開いています。

この研究において明らかにされたパイナップル果実由来のグルコシルセラミド食品素材の効果は、セラミド生合成における特定の遺伝子の発現を促進する点にあります。これにより、肌のセラミド生成が活性化され、肌の保湿やバリア機能の向上が期待されます。美容と健康において画期的な成果となる可能性が高く、特に肌の潤いや健全な状態を追求する方にとって注目の研究結果です。


引用:粧技誌

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会