植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑤

特定の分子構造を持つ植物および真菌由来のスフィンゴイド塩基に動物由来のスフィンゴイド塩基よりもわずかに高いガン細胞へのアポトーシス(自然死)誘導活性が示されるという研究結果が得られいます。

このことから経口摂取した植物および真菌由来のグルコシルセラミドが消化器官内で分解を受けたスフィンゴイド塩基の形態で大腸まで到達することにより、動物由来のスフィンゴイド塩基と同様にがん細胞に作用すると考えられ、これが大腸ガン抑制作用へ繋がると示唆されています。

真菌由来のスフィンゴイド塩基は、植物や動物とは異なる構造を持ち、細胞分化やアポトーシスなどの生理的機能に関与していると考えられています。特に、真菌由来のグルコシルセラミドは、大腸ガン細胞に対してアポトーシスを誘導する能力が示されており、経口摂取によって大腸ガンの発症を予防する可能性があります 。このように、真菌由来のスフィンゴイド塩基は、食品機能性素材として注目されています。

一方、真菌由来のスフィンゴイド塩基は、消化器官内で分解されることが知られており、その分解産物であるセラミドやスフィンゴシンもアポトーシス誘導活性を持っています。しかし、消化器官内での分解率や分解産物の吸収率は、真菌種やスフィンゴイド塩基の種類によって異なる可能性があります。したがって、真菌由来のスフィンゴイド塩基の食品機能性を評価するためには、消化器官内での動態や代謝経路を明らかにする必要があります。

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 イメージ

引用:オレオサイエンス

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会