植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑥

スフィンゴイド塩基ががん細胞のアポトーシス(自然死)を誘発させる仕組みについても研究が進んでいます。

がん細胞にスフィンゴイド塩基を作用させている実験系にカスパーゼ酵素の働きを阻害する薬品を加えたところアポトーシスが減少する結果となったことから、がん細胞のアポトーシスの流れのひとつであるカスパーゼ経路にスフィンゴイド塩基が関与していることが研究の結果示唆されています。

また、過剰に発現することががんの発生につながるとされるたんぱく質β-カテニンの量がスフィンゴイド塩基の添加濃度に依存的に減少していることから、がん細胞発現の経路ともなるWint/β-カテニン経路を介する制御系にも関与していると考えられています。

スフィンゴイド塩基は、がん細胞のアポトーシス(自然死)を誘発させることが報告されています。これに関する研究は進行中であり、がん細胞にスフィンゴイド塩基を作用させた実験では、カスパーゼ酵素の働きを阻害する薬品を加えるとアポトーシスが減少することが確認されています。このことから、スフィンゴイド塩基ががん細胞のアポトーシスの流れのひとつであるカスパーゼ経路に関与している可能性が示唆されています。

さらに、がんの発生に関与するとされるタンパク質β-カテニンの量が、スフィンゴイド塩基の添加濃度に依存して減少することが報告されています。このことから、スフィンゴイド塩基はWnt/β-カテニン経路を介する制御系にも関与しており、がん細胞の発生を防ぐ効果があると考えられています。

これらの研究結果は、スフィンゴイド塩基が大腸ガンの予防に有益である可能性を示唆しています。しかし、まだ実際の治療法や予防策としての利用には至っておらず、さらなる研究と臨床試験が必要です。将来的には、スフィンゴイド塩基やそれに基づく薬剤が大腸ガン治療や予防に貢献する可能性があると期待されています。

引用:オレオサイエンス

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会