植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑧

スフィンゴイド塩基の大腸ガン予防効果についてin vitro(細胞を使用した)研究結果が報告されていますが、in vivo(動物を使用した)研究も実施されています。

大腸線種(ACF)誘発モデルマウスへのグルコシルセラミド配合飼料の給餌による、10週間飼育後の大腸内の線種数の減少効果が報告されています。

最近の研究によると、スフィンゴイド塩基やセラミドといった生体脂質が大腸ガン予防に効果があることが示されています。具体的には、グルコシルセラミド配合飼料の摂取により、大腸線種の発生が抑制されたという報告があります。また、細胞を使用した実験でも、スフィンゴイド塩基が大腸がん細胞の増殖を抑制する効果が確認されています。

一方、グルコシルセラミドの代謝に関しては、腸内酵素や腸内菌叢の働きによって分解された後、腸管に吸収されるかどうかは未解明です。しかし、動物実験からは、グルコシルセラミド配合飼料の摂取によって大腸線種の発生が抑制されることが示されているため、腸管に吸収されない場合でも、腸内環境を改善する作用がある可能性があります。

今後の研究で、より詳細な代謝経路や機能性の解明が期待されています。大腸ガンの予防には、スフィンゴイド塩基やセラミドを多く含む食品の摂取や、グルコシルセラミド配合飼料の使用などが有効なのか、さらなる検証が必要とされています。

大腸内発生ACF(線種数)

引用:オレオサイエンス

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会