植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑨

動物を使用した(in vivo)研究で、グルコシルセラミド配合飼料による大腸線種の発生抑制効果が報告されたことから、動物生体内での代謝状態の確認も行われています。

グルコシルセラミド配合飼料を摂取したマウスの糞中脂質を分析したところ、グルコシルセラミドの代謝産物であるセラミドやスフィンゴイド塩基が確認できました。このことからグルコシルセラミドは腸内酵素や腸内菌叢の働きによって分解されていることが示されています。

分解されたグルコシルセラミド(スフィンゴ塩基)が腸管に吸収されているかをマウスの肝臓から確認をしましたが検出されませんでした。そのためスフィンゴイド塩基は腸管に吸収されないか、もしくは別の形態に変化していると考えられています。

先の研究結果から、グルコシルセラミドは大腸線維状体の発生を抑制する可能性があることが示唆されました。
この研究は、グルコシルセラミドが健康に与える潜在的な効果を探るものであり、今後の研究でグルコシルセラミドの効果がより詳しく解明されることが期待されています。

また、グルコシルセラミドは腸内菌叢の働きによって分解されるため、腸内環境に影響を与える可能性もあるとされています。
そのため、腸内環境についても検討が必要となります。
さらに、今後はグルコシルセラミドを含む食品やサプリメントの安全性についても、十分な評価が必要となります。

引用:オレオサイエンス

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会