食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果①)

植物由来のグルコシルセラミドが吸収されにくいという研究報告があるなか、グルコシルセラミドがもたらす生理効果も多数報告されています。

植物由来のグルコシルセラミドは、皮膚の保湿やバリア機能の向上など、さまざまな生理効果が報告されています。
しかし、植物由来のグルコシルセラミドは、消化管で分解されやすく、血液中に吸収されにくいという問題があります。
そのため、植物由来のグルコシルセラミドを摂取しても、その効果を十分に発揮できない可能性があります。
この問題を解決するためには、植物由来のグルコシルセラミドの吸収率を高める方法が必要です。

● 接触性皮膚炎のモデルマウスを用いた研究

 接触性皮膚炎を誘発する1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DNFB)を耳に塗布したモデルマウスにグルコシルセラミドを経口摂取させたところ、本来誘発される炎症部の肥厚化や白血球の浸潤が軽減するという報告がされています。

接触性皮膚炎のモデルマウスにグルコシルセラミドを経口摂取させたところ、本来誘発される炎症部の肥厚化や白血球の浸潤が軽減されることがわかりました。

グルコシルセラミドは皮膚の角質層に存在する細胞間脂質の一種で、皮膚のバリア機能を保つ役割を果たしています。
接触性皮膚炎は、化学物質や金属などに皮膚が過敏に反応して起こる炎症性皮膚疾患です。
この研究では、接触性皮膚炎のモデルマウスにグルコシルセラミドを含む食品を与えたところ、炎症部の皮膚厚や白血球の浸潤が有意に低下したことが観察されました。
これは、経口摂取したグルコシルセラミドが皮膚の角質層に到達し、バリア機能を改善することで、外部刺激に対する過剰な反応を抑える効果があることを示唆しています。

グルコシルセラミドは自然界に広く分布しており、パイナップルなどに含まれています。
今後は、グルコシルセラミドの経口摂取が人間の接触性皮膚炎にも有効であるかどうかを検証する予定です。

食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果①)

引用:明治大学農学部研究報告

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会