食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果②)

● 接触性皮膚炎のモデルマウスを用いた研究

 オキザゾロンを耳に塗布したモデルマウスにグルコシルセラミドを経口摂取させたところ、炎症部の肥厚化や水分含有量の低下、リンパ節重量の増加、肥満細胞・好中球の浸潤が軽減し、投与量を増加させたところ、軽減効果が更に増加したという報告がされています。

これら炎症作用の軽減効果はグルコシルセラミドの投与により、炎症性サイトカインの過剰発現が抑制されているためであると考えられています。

接触性皮膚炎は、化学物質や金属などに皮膚が触れることで起こる炎症性の皮膚疾患です。
この病気の原因となるのは、炎症性サイトカインと呼ばれる物質の過剰発現です。
炎症性サイトカインは、免疫系の細胞が感染や外傷に対応するために分泌する物質で、正常な場合は皮膚の防御機能を高めますが、過剰になると皮膚にダメージを与えます。
そこで、私たちは接触性皮膚炎のモデルマウスにグルコシルセラミドを経口摂取させることで、炎症作用の軽減効果を検証しました。
グルコシルセラミドは、皮膚の角質層に存在する天然の保湿成分で、皮膚バリア機能の強化に重要な役割を果たします。
実験の結果、グルコシルセラミドを経口摂取したモデルマウスでは、対照群に比べて皮膚の赤みやかさぶたが減少し、炎症性サイトカインの過剰発現が抑制されました。
これらの結果から、グルコシルセラミドは接触性皮膚炎の予防や治療に有効な可能性が示唆されました。
食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果②)

引用:明治大学農学部研究報告

監修

江口  文陽
江口  文陽教授
1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任

出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業

取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)

学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長

所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会