セラミド合成酵素発現に関する研究-1
グルコシルセラミド混合飼料を摂取したマウスの皮膚バリア機能の向上効果が皮膚からの水分蒸散量の低下から得られていますが、同時にセラミド合成酵素の発現に関与するmRNA量も2倍近くに増加したという結果も得られています。
そこからヒト表皮細胞を用いた実験にて、培養中にグルコシルセラミドの分解産物であるスフィンゴイド塩基を加えたところセラミド合成酵素のmRNA量の増加を確認することができました。
このことから経口摂取したグルコシルセラミドが消化管内でスフィンゴイド塩基にまで分解・吸収されることによって表皮における細胞間脂質の合成原料として用いられるだけでなく、セラミド合成酵素の発現に関与しセラミド合成を増加させる可能性が示唆されています。
セラミドは、皮膚のバリア機能を担う角質層に存在し、肌の保水力や防御力を維持する重要な成分です。セラミドの合成には、セラミド合成酵素と呼ばれる酵素群が関与しています。
セラミド合成酵素発現に関する研究では、セラミド合成酵素の遺伝子発現を調べることで、セラミド合成の調節機構を解明しようとするものです。具体的には、セラミド合成酵素の遺伝子発現を調節する転写因子の同定や、細胞内シグナル伝達経路の解析などが行われています。
セラミド合成酵素発現に関する研究は、肌の健康や美容に関わる重要な研究分野であり、セラミド合成を助ける成分や方法を開発する上でも重要な知見が得られています。
【セラミド合成酵素】
セラミドを合成する酵素であり、これまでに6つのアイソフォーム(CerS1-6)が同定されています。
セラミドは、細胞膜に存在する脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸が結合してできます。そのため、セラミド合成酵素は、スフィンゴシンと脂肪酸を結合させることでセラミドを合成します。
セラミド合成酵素は、セラミドの種類によって複数種類存在し、それぞれが異なる組み合わせでスフィンゴシンと脂肪酸を結合させるための特異的な作用を持ちます。皮膚のバリア機能を維持するためには、正常なセラミドの合成が必要不可欠であり、セラミド合成酵素が適切に機能していることが重要です。
引用:明治大学農学部研究報告
監修

- 教授
- 1965年群馬県生まれ、東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士)、日本学術振興会特別研究員、東京農業大学非常勤講師、高崎健康福祉大学助教授、教授を経て2012年4月東京農業大学教授。同大学院指導教授、2021年4月より東京農業大学学長に就任
出身学校
1984年04月 - 1988年03月 東京農業大学 農学部 林学科(林産学コース) 卒業
取得学位
東京農業大学 - 博士(林学)
学内職務経歴
2012年04月 - 継続中 東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授
2016年04月 - 継続中 東京農業大学 (その他の組織) 東京農業大学「食と農」の博物館 館長
2021年04月 - 継続中 東京農業大学 学長
所属学会・委員会 等
1985年04月 - 継続中 日本木材学会
1988年06月 - 継続中 日本きのこ学会
1995年04月 - 継続中 日本炎症再生医学会
1995年04月 - 継続中 日本農芸化学会
1995年05月 - 継続中 応用薬理研究会