食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果①)

食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果①)

植物由来のグルコシルセラミドが吸収されにくいという研究報告があるなか、グルコシルセラミドがもたらす生理効果も多数報告されています。

● 接触性皮膚炎のモデルマウスを用いた研究

 接触性皮膚炎を誘発する1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DNFB)を耳に塗布したモデルマウスにグルコシルセラミドを経口摂取させたところ、本来誘発される炎症部の肥厚化や白血球の浸潤が軽減するという報告がされています。

食事性グルコシルセラミドの機能性(接触性皮膚炎に及ぼす効果①)

引用:明治大学農学部研究報告

食事性グルコシルセラミドの機能性②

食事性グルコシルセラミドの機能性

食事成分としてのグルコシルセラミドの有用性は様々な研究から示唆されていますが、実際には食事成分として摂取したグルコシルセラミドは消化管ではほとんど吸収されないという研究報告もあります。

これはグルコシルセラミドが代謝の過程で変化する分子構造的な問題と代謝に用いられる酵素活性の低さによるものと考えられています。

食事性グルコシルセラミドの機能性

引用(PDF):明治大学農学部研究報告

食事性グルコシルセラミドの機能性

食事性グルコシルセラミドの機能性

食事成分として摂取されたスフィンゴ脂質が様々な生理活性を持つことが多くの研究から報告されています。
植物性のスフィンゴイド脂質であるグルコシルセラミドには動物性のものに比べ種類も多く、その有用性も多岐にわたっています。

既に多くの報告がされている皮膚バリア機能改善効果の他、皮膚炎軽減効果、遺伝子発現への影響、大腸炎への影響等の研究結果を通してグルコシルセラミドの腸管吸収の重要性と活性亢進についての報告がされています。

食事性グルコシルセラミドの機能性

引用:明治大学農学部研究報告

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑩

植物由来グルコシルセラミド

ここまで、植物由来グルコシルセラミドの経口摂取による機能性の検討がされてきました。
グルコシルセラミドの代謝産物であるスフィンゴイド塩基が小腸または大腸にて吸収、作用することで肌の保湿効果、免疫強化、抗腫瘍効果など多くの機能性を示すことが明らかになってきています。

植物性グルコシルセラミドの構成セラミド組成は動物由来スフィンゴイド塩基と比較しても複雑で、種や組織による多様性が見られるため今後の研究でさらなる物理的性質や機能性が確認されると考えられています。

植物由来グルコシルセラミド

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑨

動物を使用した(in vivo)研究で、グルコシルセラミド配合飼料による大腸線種の発生抑制効果が報告されたことから、動物生体内での代謝状態の確認も行われています。

グルコシルセラミド配合飼料を摂取したマウスの糞中脂質を分析したところ、グルコシルセラミドの代謝産物であるセラミドやスフィンゴイド塩基が確認できました。このことからグルコシルセラミドは腸内酵素や腸内菌叢の働きによって分解されていることが示されています。

分解されたグルコシルセラミド(スフィンゴ塩基)が腸管に吸収されているかをマウスの肝臓から確認をしましたが検出されませんでした。そのためスフィンゴイド塩基は腸管に吸収されないか、もしくは別の形態に変化していると考えられています。

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑧

大腸内発生ACF(線種数)

スフィンゴイド塩基の大腸ガン予防効果についてin vitro(細胞を使用した)研究結果が報告されていますが、in vivo(動物を使用した)研究も実施されています。

大腸線種(ACF)誘発モデルマウスへのグルコシルセラミド配合飼料の給餌による、10週間飼育後の大腸内の線種数の減少効果が報告されています。

大腸内発生ACF(線種数)

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑦

グルコシルセラミドの代謝産物であるスフィンゴイド塩基の大腸ガン予防効果の研究が進められています。

スフィンゴイド塩基がガン細胞の細胞死(アポトーシス)を誘導する作用が既に報告されていますが、正常腸菅細胞モデルを用いて、スフィンゴイド塩基が正常細胞におよぼす影響を検討しています。

◎ Caco-2(ヒト結腸直腸ガン)細胞 ⇒ 分化 ⇒ 正常腸管細胞

■ Caco-2細胞へのスフィンゴイド塩基添加 → アポトーシス誘導 

■ 正常腸管細胞へのスフィンゴイド塩基添加 → アポトーシス誘導 

以上の結果よりスフィンゴイド塩基は正常細胞には影響を与えず、ガン細胞に対し特異的アポトーシスを誘導していると考えられ、これにより経口でグルコシルセラミドを摂取することが大腸ガンの予防につながると考えられています。

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑥

スフィンゴイド塩基ががん細胞のアポトーシス(自然死)を誘発させる仕組みについても研究が進んでいます。

がん細胞にスフィンゴイド塩基を作用させている実験系にカスパーゼ酵素の働きを阻害する薬品を加えたところアポトーシスが減少する結果となったことから、がん細胞のアポトーシスの流れのひとつであるカスパーゼ経路にスフィンゴイド塩基が関与していることが研究の結果示唆されています。

また、過剰に発現することががんの発生につながるとされるたんぱく質β-カテニンの量がスフィンゴイド塩基の添加濃度に依存的に減少していることから、がん細胞発現の経路ともなるWint/β-カテニン経路を介する制御系にも関与していると考えられています。

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ⑤

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 イメージ

特定の分子構造を持つ植物および真菌由来のスフィンゴイド塩基に動物由来のスフィンゴイド塩基よりもわずかに高いガン細胞へのアポトーシス(自然死)誘導活性が示されるという研究結果が得られいます。

このことから経口摂取した植物および真菌由来のグルコシルセラミドが消化器官内で分解を受けたスフィンゴイド塩基の形態で大腸まで到達することにより、動物由来のスフィンゴイド塩基と同様にがん細胞に作用すると考えられ、これが大腸ガン抑制作用へ繋がると示唆されています。

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 イメージ

引用:オレオサイエンス

植物由来グルコシルセラミドの食品機能性 ➃

Composition of Sphingoid Bases in Plant and Fungal Glucosylceramides.

グルコシルセラミドが代謝分解された状態であるスフィンゴイド塩基にガン細胞のアポトーシス(自然死)誘導活性が認められることが報告されていますが、その構造によってもアポトーシス誘導活性に差がみられることが報告されています。

ダイズ由来のスフィンゴイド塩基(トランス型構造)に比べ、トウモロコシやコムギ由来のスフィンゴイド塩基(シス型二重結合構造)に高いアポトーシス活性が認められたという結果が得られています。

この構造の違い(割合)は由来となる植物・真菌の種類によって顕著にことなっているという報告がされています。

Composition of Sphingoid Bases in Plant and Fungal Glucosylceramides.

引用:オレオサイエンス